死ぬってことが甘美に思える瞬間がある。

でも、それは幻だ。

自殺は生を否定する究極の自己選択だ。うつ病を経験した僕には分かる。「死」が堪らなく甘美なものに思える瞬間がある。病気の苦しみと「死」を比較したときに、「死」の方が楽に思える衝動が心を支配するときがある。それは事実だ。僕の事務所には月に2、3度は「これから死にます。」という電話がある。そんなとき、僕は理由を尋ねることにしている。色んな理由がある。当然だ。でも僕は自殺を肯定しない。誰に何と言われようと「死んだらダメだ!」と言う。「どうして死んだらいけないの?」と言う人がいる。それに対して、明確に答えられたことはない。でも、それは本能的にダメなのだ。理屈じゃなくダメなのだ。これを読んで「これから死にます。」って人がいたら電話をください。いつものように、僕は理由を尋ねます。もし、僕を納得させる理由だったら、自殺を許すかも知れない。けど、そんな理由に出会ったことは一度もない。